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  • 執筆者の写真NPO法人Hanmori事務局

【2022年】トウキョウサンショウウオの保全・整備活動報告

更新日:2022年8月30日



2021年2月20日にハンモリの管理する里山にてトウキョウサンショウウオが産卵する場の整備・保全活動を行いました。


コロナ禍ということもあり開催するべきかスタッフ一同悩みましたが、1年に一度しかできない体験ということで開催する運びとなりました。


私たちハンモリのメンバーはトウキョウサンショウウオの産卵や成育に適した環境についての知識が乏しいため、今回は飯能市の里山に生息する生物の観察や保全活動をしている「森のフィールド学舎」様より講師をお招きいたしました。


「森のフィールド学舎」様(略して森マナ)は毎年トウキョウサンショウウオの卵や生息数の観察と、産卵に適した環境を保全する活動をしているスペシャリストです。


産卵場所の整備・保全作業をしながら、作業中に発見した生物の解説なども詳しくしていただき、子どもたちもとても楽しみながら作業を行うことができました。

(森マナの皆さん、お忙しい中でも快くオファーを受けていただきどうもありがとうございました!)


当日の天気予報は雨でしたが、幸いにも開始時刻の10時には雨も上がり、冷たい北風もなく思ったよりも過ごしやすい作業日和となりました。

直前で事情により参加できない方が出たため参加人数に変更などありましたが、4人の子どもたちを中心に合計8名の方が参加してくださいました。



開始時刻の10時となりスタート。

まずは本日のメイン講師であるM先生の方から本日の予定の説明後、トウキョウサンショウウオについてのお話をしてもらうことに。


トウキョウサンショウウオを見たことがない子どもたちは緊張しているのか、初めはポカーンとしていましたが、S先生が用意してくださったiPadの画面に映る写真を見ると興味が湧いてきたようです。


iPadの前にジリジリとにじり寄り、写真を見ながらトウキョウサンショウウオの指の数や両生類に関するクイズをするうちに緊張も解けてきたようです。



ここで面白いクイズが講師の方からありましたので、この記事を読まれている方も是非考えてみてください。

「カエルのオタマジャクシは先に脚から生えてきますが、サンショウウオのオタマジャクシは手と脚どっちから生えてくるでしょうか?」


・・・正解は春になったらご報告しますのでお楽しみに!



参加者の緊張が解けてきたところで水が溜まっている場所へ移動し、いよいよ作業の開始です。


まずは熊手を使い、冬の間に溜まってしまった落ち葉を掻き出していきます。




すると、開始早々にお子さんと参加していたお母さんが予想外のモノを発見しました!


なんとトウキョウサンショウウオの卵です。


同じ市内のトウキョウサンショウウオの産卵時期が3月以降のため、予想ではこれから産卵が始まると思っていましたが、このあたりの個体は2月中に産卵が始まるということがわかりました。



その後も落ち葉を取り除く作業をしている子どもたちが続々と卵を見つけ大盛り上がりの中、トータルで8匹分(16対)の卵を見つけることができました。


トウキョウサンショウウオの卵ですが、クロワッサンのような形の中に黒い粒々が入っており、1匹の雌が1対(2房)の卵を産みます。




落ち葉を掻き出す作業が終わると、次は雨により溜まってしまった土をスコップを使って掻き出す作業をすることに。


子どもたちがドロドロになりながら一生懸命土を掻き出していると、突然、M先生の「ああっ!!」という声が。


なんと、産卵のために水場へ降りてきたトウキョウサンショウウオの成体を発見しました!



子どもたちは初めて見るトウキョウサンショウウオに大興奮。


先生の指導のもと、個体に負担をかけないよう慎重に子どもたちの両手に乗せてあげると、子どもたちは「冷たくてヌルヌルしている!」と初めて触る感覚に驚いていました。



その間に黙々と作業を続けていた代表も成体を1匹発見し、トータルで成体を2匹確認することができました。



トウキョウサンショウウオ以外にもサワガニやシオカラトンボの幼体、プラナリアなど様々な生き物に出会うことができ、子どもたちも飽きずに楽しんでくれたようです。


続いての作業は、堰を作り水が緩やかに流れるようにしていくため、石を移動させてダムを作っていきます。


子どもたちは重い石や土を土手を作るために遠くから汗をかきながらせっせと運んできてくれました。




お昼ご飯を食べた後、最後の作業である、トウキョウサンショウウオたちが外敵から隠れる場所を作っていきます。


飯能市では特にアライグマによる捕食が増えてきているため、アライグマの手が届かないように木を置いて蓋の代わりに敷き詰めていき、風で飛ばされないよう石を載せて作業終了となりました。



完成した場所を見たA先生が、一言。


「ここは水の深さや流れに緩急があり、さらに隠れる場所もあってサンショウウオにとってかなりいい環境ですね。人間で言うところの都心の一等地みたいなものです。白子ヒルズですね(笑)」


参加者と講師の方々が汗を流して作業していただいたおかげで、トウキョウサンショウウオ達もさぞかし快適な生活を送れることでしょう。


最後にトウキョウサンショウウオは子ども達に絵を描いてもらった後、元いた場所へ帰っていきました。



みんな上手に描けたね!




今回やった作業の反省点として、この地域のトウキョウサンショウウオは産卵時期が2月中旬ということがわかったので、次回はもう少し早い時期に整備活動をしたいと思いました。


毎年保全活動を行なっておりますので、惜しくも今回参加できなかった方は是非来年はご参加ください。

スタッフ一同お待ちしております。


小雨がちらつく中、ドロドロになりながら作業に参加していただいた皆様、どうもありがとうございました。


そして最後に、今回の保全活動の計画と進行を引き受けてくれたM先生、森マナのS先生、A先生、お休みなのにお手伝いに来てくださったFくん本当にありがとうございました。

来年もひとつよろしくお願いいたします!




【追記】

2022年3月26日に卵の数を数える作業を行い、今年は70個(35対)の卵を確認することができました。







飯能市でもここまでたくさん卵が見られる場所は他にはないそうです。


来年もたくさん産卵に来てくれるよう、里山の整備を続けていきたいと思います。


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